Chikanism

現実と非現実のあいだ

夜に溶ける

昔読んだ小説に、女の子が枕の下にチョコを隠しておいて、彼がシャワーが浴びている間にこっそりつまむシーンがあった。ちゃんと覚えてないけど、たぶん戻ってきた彼とキスして、いたずらっぽく笑うんだ。

 

 

 

眠れない夜、ベランダのそばに座り込んで普段は吸わないタバコに火をつける。儀式みたいなものだ。なんだか突然どうしようもない気持ちになることがあって、だいたいそういうのは深夜だ。床に触れるつま先が冷たい。

世界でわたしだけ、人間として欠陥品のような気分になる。どうしたらいいかわからなくて、チョコレートをひとつぶ口に含んだ。ラッキーストライクの後味と混ざる甘ったるいチョコの味。美味しいかどうかもよくわからない。

 

なにもない暗闇を見つめながら、最近読んだ哲学みたいな本の内容が急に腑に落ちた。かといって解決策は見つからない。外は雨だ。少し開けた窓の隙間から冷たい風が入ってくる。

 

夜更かしはよくないってわかってる。目を閉じて5秒で意識がなくなればどんなにいいか。不眠がちのわたしには夢のまた夢だ。

そろそろ寝られるだろうか。わたしは枕の下にチョコは隠さないけれど、甘さと苦さを引きずったまま目を閉じた。明日の朝が、晴れだと良い。