Chikanism

現実と非現実のあいだ

スタバとアルバム

日差しが強い夏の日、花火大会に行った。お昼すぎから場所取りをしようと思ったのだけど、外に座ってるには暑すぎて、しりとりにも飽きて、荷物だけ置いてカフェに行くことにした。近くにあったスタバに入る。ヨーグルト系のフラペチーノのが期間限定だったけど、彼が「気分じゃない」と言ったのでカフェモカにした。

席に座ると彼は後輩にLINEを返していて、なんだか長くなりそうなのでわたしもケータイを見るフリをした。ちらっと見たら相手は研究室の後輩のようで、彼はIntelliJについて調べてた。わたしもこっそり調べたけど、よくわからなかった。

反対側に座ってた女の子が、アルバムを作っていた。写真のレイアウトを考えて、貼り付けて、マスキングテープやシールを貼って、たまにメッセージを書いて。彼氏にあげるアルバムのようだ。幸せそうに笑うツーショットの写真が見える。

健気だなあ、と思った。たぶん作る途中も楽しいんだと思う。わたしだったら作れない、と思った。作れないというよりたぶん恥ずかしくて渡せない。

 

昔作ったことがある。1年付き合った彼氏との記念に、お祝いができたら渡そうと思った。でも手作りなんてできなくて、スマホで写真を選んだら印刷して届けてくれるサービスを使った。

付き合い始めて最初のうちは気恥ずかしくてツーショットなんて撮れなくて、iPhoneに残ってる写真は付き合ってずいぶん経ってからの写真ばかりだった。それもツーショットより一人で写っているもののほうが多い。そんな中から選んだら、かなり最近の写真ばかりになってしまった。

でも彼はわたしにとって初めての彼氏で、普通がどんな感じなのかもよくわからなくて、なんかわたしなりにカップルってこういうものかな、みたいな感じで作った。1年付き合った日を祝うものかどうかもよくわからなかったけど、結果祝うことはなかった。

 

その日は彼は就活で東京にいると言った。わたしは会いたかったなんて言えずに、行ってらっしゃいとだけ言った。渡せなかったままのアルバムは、そのまま引き出しに仕舞っておいたけれど、別れたときに捨てた。

実はアルバムを作ったんだ、なんて言える日も来なかった。

 

スタバの女の子を見た。きっと彼氏は喜ぶんだろう。

隣でIntelliJを調べる彼を見る。彼はわたしがアルバムを作ったら喜んでくれるんだろうか、と考えたけど、わたしなら作ってもやっぱりスマホで作れるタイプのやつだろう。結局その人ともアルバムを作る機会が来る前にお別れした。

なんの関係もないのに、IntelliJという言葉を聞くと思い出す。暑い日のスタバで女の子がアルバムを作っていた光景を。